医師が教えるインフルエンザ検査で陽性確認できる時期は発熱からいつ頃?
インフルエンザの流行は12月の初旬から始まり1月頃にピークをむかえます。
忙しいビジネスマンにとって、予防接種に行けない人も多いのではないでしょうか。
インフルエンザが流行し始めると短期間の間に多くの人が発症してしまいます。
そんな時期に発熱してしまったらインフルエンザにかかってしまったのではないかと心配してしまいますね。
インフルエンザと診断される検査の時期や、薬が効く時間など、これから説明していきたいと思います。
インフルエンザと風邪の初期症状の違い
風邪のウイルスは「アデノウイルス」などによって5~6日間の潜伏期間の後、のどの痛みや鼻づまりなどの症状があらわれてきます。38℃前後の発熱を伴う場合もあります。
風邪であれば、暖かくして安静にし、水分補給と食事をしっかり摂取できれば徐々に症状は改善されていきます。
のどの痛みや、鼻づまりが辛い場合は薬で緩和しましょう。
インフルエンザは1~2日間の潜伏期間の後、38℃以上の急激な発熱から始まることが多く、全身の倦怠感や食欲不振などの症状が強く表れるのが特徴です。
一週間ほど全身症状が続いた後、健康な人であれば徐々に改善されていきます。
しかし、免疫力が低下していると、肺炎などを併発しやすく重症化する場合があります。
それでは、急に発熱しインフルエンザが疑われるときには、どのタイミングで病院を受診すればよいのでしょうか。
インフルエンザを疑って病院を受診するタイミング
仕事から帰宅して、身体がだるいと思いながら熱を測ってみると38℃「もしかしてインフルエンザかも」病院は閉まっているし、明日も仕事だしどうしよう。そんな時、救急機関や、急患センターに駆け込むのは避けたほうがよいでしょう。
インフルエンザウイルスの最適な検査時期について、第46 回日本感染症学会中日本地方会総会で発表された論文によると
発症して12時間以内の、インフルエンザウイルスの検査実施には診断に問題が残り、発熱後、12時間以内の偽陰性率が29%であったが、発症12時間以降は0%であった
参考文献 インフルエンザウイルス抗原迅速診断検査利用法 最適な検査時間についての1考案
という論文が、財団法人田附興風会医学研究所北野病院小児科チームから発表されています。
このことからわかるように、発熱して12時間が経過していないと、インフルエンザであるという正確な診断結果はでないということになります。
勇み足で急患センターを受診しても、正確な検査結果を得ることができず、薬も原則として当日分の薬しか投与されないため、次の日また違う医療機関を受診することになります。
そこでもまた、インフルエンザウイルスの検査をされるため、時間も費用も2倍かかってしまうことになります。
発熱後12時間経過した後に病院を受診すれば、インフルエンザを発症しているかの診断を確定できることになります。
それでは、12時間経過してインフルエンザの陽性反応が出るまでは治療薬を投与してもらえないのでしょうか。
また、抗インフルエンザウイルス薬の服用の適切な時期とはいつなのでしょうか。
抗インフルエンザウイルス薬が効く適切な時期
インフルエンザにかかると高熱と倦怠感などの全身症状から辛い日が続きます。インフルエンザの陽性反応が出るのは発熱後12時間が経過してからですが、その時間を待って受診しなければいけないということではありません。
辛い症状を早く緩和させることは、早い体力の回復につながっていきます。
医師の診断により、まだ陽性反応が確定していなくても、インフルエンザの可能性が高いとされた場合、抗インフルエンザウイルス薬を処方してもらうことができます。
抗インフルエンザウイルス薬は、発症から48時間以内に開始すると治療効果を発揮し、発熱期間も短縮されウイルスも減少していきます。
薬の服用が早いほど、早く身体は楽になっていきます。
第46 回日本感染症学会中日本地方会総会で財団法人田附興風会医学研究所北野病院小児科チームから発表された論文では
実際の診療現場においては,発症12 時間以内の場合12 時間以降の診断が確実であることを説明し,抗ウイルス薬を1 日のみの処方として発症12 時間以降の検査結果により継続治療を行うことが望ましいと考えられた
参考文献 インフルエンザウイルス抗原迅速診断検査利用法 最適な検査時間についての1考案
と結論付けられています。
インフルエンザウイルスと違うウイルスの風邪であれば、抗インフルエンザウイルス薬は効果を発揮しません。
陰性であって服用しても影響はないとされていますが、どのような薬でも副作用はあるので、陽性反応が出ていないうちに薬を服用する場合は、お医者さんの説明をよく受けて服用しましょう。
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まとめ
インフルエンザの検査で、インフルエンザウイルスの陽性反応が確定する時期は、【発熱後12時間】が経過してからになります。また、抗インフルエンザウイルス薬は48時間以内に服用しないと治療効果が認められません。
このことから、インフルエンザの検査と治療開始の時期は、発熱後12時間たってから早めに医療機関を受診するのがベストということになります。
大手企業ではインフルエンザと診断されると出勤停止を求められるケースもあるようです。
社会人ですから自己管理能力が問われるのは仕方ないと言えるでしょう。
インフルエンザは毎年流行しています。
インフルエンザを予防するためにも、予防接種を受け、日ごろからの体調管理に気を付けて、仕事をがんばってください。